【「教える」から「引き出す」へ】

先日読んでいた「キャッチボール ICHIRO meets you」(ぴあ)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4835609336/shearts-22
という本の中でイチロー選手のコメントとして

「打撃投手が必要なのは、自分のスタイル、形ができるまで。
その後はそれほど、打ち込む必要はないんです。

それができるまでは、打つことによって
何かを見つけなければいけないのですが」

との言葉がありました。

私自身も高校生の時から空手を始め、現在も子供達の指導を
するとともに自分自身の技の研究もしているのですが、
まさにその言葉通りで突きの稽古、蹴りの稽古にしても
最初は毎日何千本も繰り返し繰り返し行なっていました。

始めて数ヶ月の頃はぎこちなかった技も、
ある日を境に正しい突き方、蹴り方を身体が覚え、
次はいかにより速く、より強く、より正確に
その技を出せるか、という量から質への段階へと
移行していきました。

そして、技を相手に確実に決める事ができるようになった時、
1つの「形」としてその技を身体が覚えたんですね。

1度身体が覚えれば、しばらく稽古をしていなくても
その技を数回繰り返せば、身体がそのフィーリングで
軸のズレや修正部分を教えてくれます。

私の場合、空手を始めた当時はイメージトレーニングや
フィードバックトレーニングなどを全然知りませんでしたので、
とにかく量!の稽古でした。
今考えればかなりの回り道をしていたと思います。

初心者の場合、やはり最初は身体が覚えるまで
「量」をこなす必要性はあります。

しかし、ただ量をこなすだけでなく、
その中で考え、感じながら行なっていく事が
上達への近道となるのです。

上記のイチロー選手の言葉にある
「打つことによって何かを見つける」
ということですね。

その方法としてイメージトレーニングや
フィードバックトレーニングを行なうんです。

それらを取り入れることで
無駄な「量」を減らし、その分の時間を
より高い「質」の練習へと回すことができるんですね。

様々な競技で、このイメージ→フィーリングを感じる
→フィードバックをさせることで、驚くほど短時間で
技術が向上した事例も多くあります。

あれこれ教えても選手が全く上達せず、
逆にどんどん崩れてしまい、見ていられなくなって
「もういい、好きにやれ!」
と言った途端にできるようになった、
という経験はありませんか?

教え込む、というのは頭(脳)で考えさせてしまうんですね。
そこでは、感情が働いたり、言語中枢が働いたりして
運動を記憶する小脳に誤った信号が送られてしまうんです。

フィーリングというのは、感情や思考を超えた無意識の感受性で
身体全体が感じるものなんですね。

したがって、理想とするプレイや良かったプレイの感じを
イメージし、プレイした後にその動きや結果を
フィードバックさせる。

「今の感じはどうだったか?」
「イメージ通りの感覚でできたか?」
身体の中から答えを「引き出す」んですね。

みなさんは答えを「教えて」いますか?
それとも「引き出して」いますか?


【オススメ本】

「キャッチボール ICHIRO meets you」(ぴあ)

※糸井重里さんの本質を深く突いた質問に、イチロー選手が
独特の世界観で答えます。トップアスリートの"こだわり"
を知る事ができ、様々な気づきを得られる一冊です。
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